市長メッセージ

鎮魂と追悼

 今日で、あの東日本大震災と原発事故から丸10年を迎えました。
 改めて、犠牲となられた多くの方々に、追悼の意と鎮魂の祈りを捧げるとともに、被災された全ての方々に、心から御見舞い申し上げます。

第1章~感謝を胸に~

 私たちのふるさと福島市は、東日本大震災と原発事故で未曾有の被害を受けました。
 とりわけ、原発事故による放射能災害は私たちの想像をはるかに超え、浜通りはもとより中通りにまで放射性物質が広範囲に飛散しました。
 これにより原発から約60㎞離れている本市でも空間の放射線量が平常値を大きく上回ることとなり、市民の健康への不安や風評被害などこれまでに経験したことのない事態となりました。
 本当にもとの生活に戻れるのか、かけがえのない日常を返してほしい、誰もが先の見えない不安を抱く中、国内はもとより世界各国の皆さまから、数えきれない多くの温かいご支援や励ましの声を頂きました。
 これまで頂いた多くのご支援は、何物にも代えがたいものです。そして、私たちを勇気づけてくれました。改めて、心から感謝を申し上げます。

第2章~復興の現状~

 原発事故による放射能災害との闘いは困難を極めました。まさにマイナスをゼロに戻し、スタートラインに立つための作業です。
 世界初となる全市的な除染作業は、市民や企業等のご協力をいただきながら大震災から7年の歳月を費やし、2018年にようやく完了することができました。
 市内の空間放射線量は、除染や風雨等による放射性物質の減少などにより低減が図られ、安心して生活できる環境に回復しています。
 また、観光客数についても、大震災前の水準にあと一歩のところまで回復してきました。

 しかし一方で、放射能に対する不安、農作物等に対する風評被害は、現在も根強く残っており、またピーク時から大きく減少したとは言え、2千人を超える市民が今もなお全国各地で避難生活を送らざるを得ないなど、復興は未だ道半ばです。

第3章~更なる試練~

 大震災後も、東日本台風(台風第19号)、コロナ禍、そして福島県沖地震と、立て続けに試練に見舞われました。
 新型コロナについては、2020年12月、一月だけで7つのクラスターが発生。294人もの新規患者が確認され、一時は3つの救急病院が休止、医療崩壊寸前の状況となり、本市独自の「新型コロナ緊急警報」を発令するにいたりました。
 次々と試練が続きますが、私たちは決して挫けません。
 あの未曾有の大震災、原発事故を乗り越えようと、一つ一つ問題を克服してきた自負があります。
 私たちは、いただいたご支援を復興の原動力に換え、数々の試練を変革のバネとしながら、福島市の新ステージに向け、一丸となって力強く前へ前へと進んでいきます。

第4章~県都としての責務

 初動体制や市民との相互コミュニケーション、高齢者や障がい者等への配慮、他自治体や民間団体等との連携、そして人と人の絆など、私たちは、あの災害からこれらの大切さを身をもって教訓として学びました。
 大震災から10年、「福島」と「復興」に注目が集まる中で、災害の教訓を生かしながら、「福島」の名を冠する県都の責務として、福島圏域はもとより、福島県全体の発展に貢献します。
 さらに、災害の記憶と教訓を次世代へ引き継ぎながら、復興の先を見据えたまちづくりを進め、県内市町村の復興・創生にも貢献していきます。

第5章~世界にエールを送るまち 県都ふくしま~

 この4月から、震災後10年以降の創造的復興を目指す第2期復興・創生期間が始まります。
 復興の次に創生があるのではなく、市民との共創により新ステージを目指す創生を進めてこそ、復興は達成できます。
 大震災以降、復興に主体的に関わり行動しようという市民、特に若い世代の動きが顕著となり、産・学・官が連携してこの動きをサポートしています。
 市の計画策定や施設開設に際し、幅広い世代の市民がワークショップに参加するなど、市民と行政が目的を共有しながらまちづくりを進める気運がこれまで以上に高まりを見せています。
 私たちは、これまでいただいたご支援に対する「感謝」の気持ちを忘れず、市民と力を合わせ、国内・世界の人たちと連携しながら、真の復興に取り組みます。
 健康管理や心のケア、風評払拭など残された課題への対応はもとより、安全・安心なまちづくり、子育て環境の充実、健都ふくしまの創造などの取組を重点的に進めます。
 さらに、中心市街地に広域的な拠点機能を集積するとともに、福島らしい文化の香り漂う風格ある県都を目指したまちづくりを進めるなど、更なる地域社会のグレードアップを図ります。
 市民だれもが「本当に住んで良かった」と誇れるまちにする。
 そして、世界から支援をいただいてきたまちから、災害が多発する世界の方々の励みとなるような「世界にエールを送るまち」を目指します。

2021年3月11日
福島市長 木幡 浩